テオバルト
フルート夏期セミナー ☆ 参加者体験記
「フルートは人生の友」
山田繁夫さん 64歳 (神奈川県)
今回、高木先生にご指導いただけるセミナーに参加できた喜びは大きい。
二年前、やはり高木先生がいらしたセミナーの際に、訳があって受講曲に力量をはるかに超えた難曲
ジュナンの『椿姫のファンタジー』を持ち込んだのである。
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私は20数年来、現代医学ではまだ根治療法がみつかっていない瞬間性昏睡障害を持病に持っていた。
薬投与で発病を抑え日常生活に支障はなかったが、
三年前、右手に麻痺が頻繁に出るようになり、手術を受けることになった。
手術は右手の自由を失うリスクを伴っていて、フルートの持続が危ぶまれた。
その翌年のセミナーにも参加申込みをしていたので、手術はセミナーが終わった後に受けることにした。
そんな状況の中で『椿姫』を選択したのだ。
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フルートに初めて接したのは、勤務先の業務上ストレスに苦しんでいた53歳の時であった。
ソロリサイタルで聴いた『椿姫』に感動を受けた。
いつしか病んでいた心が癒され、生気が蘇っていた。
「椿姫をいつか吹いてやる」
これがフルートを始めたきっかけである。
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それから10年、思い描いた夢を実現できない事態が目前に迫っていた。
「指が動く今しかないー」
力量不足を承知で椿姫を持ち込み、高木先生を苦悩に陥れてしまった。
それでも必死に指導してくださった。
申し訳なさと有難さで胸が詰まった。
病の事は知らせていなかった。
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その年の末、手術後に右手の指の自由を失い、
かすかに動く指のリハビリに、フルートのスケールとアルベジオ練習を取り入れた。
3ヶ月目辺りから指に感覚が戻り始め、10ヶ月程でかなりの自由が戻った。
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そして今回、ピアソラの『リベルタンゴ』、指の限界に挑戦だった。
諦めかけていたフルートで高木先生と再会でき、
ご主人と、8ヶ月になった○○ちゃんともお話しできた。
参加者との再会や新たな出会いに励まされ、元気と活力が湧き、生気を蘇らせ、
指の自由を取り戻してくれた。
私の人生はフルートに生かされている。
今、フルートを続けられる喜びに感謝してこの原稿を記している。
※山田繁夫さんは、第12回より毎年、テオバルト夏期セミナーにご参加いただいています。